灯油を使う暖房機器やボイラーを設置しているご家庭では、「オイルサーバー」または「オイルリフター」という装置が目に入ることがあります。
しかし、その役割や仕組みを理解している方は、意外と少ないのではないでしょうか。
例えば屋外の灯油タンクから2階などの高い位置にある石油ボイラーやFF式や煙突式といった石油ストーブへ燃料を送るには、重力では届かないケースがあります。
また高い位置にある場合、灯油は自然流下せず、ポンプの力が必要になります。
その「ポンプ+貯油タンク」の役割を果たすのが、オイルサーバーです。
また、オイルサーバーの設置後に欠かせないのが「エア抜き(灯油ラインの空気除去)」です。
配管内に空気が混入したままだと、灯油が正しく送れず、ボイラーが着火しない・ストーブが止まるといった不具合を引き起こします。
つまり、オイルサーバーは灯油を送るだけでなく、「燃焼機器を安定稼働させるための環境を整える装置」でもあります。
この記事では、オイルサーバーの基本構造からエア抜きの仕組み、よくある誤解やメンテナンスの注意点まで、ガス・灯油設備のプロであるルーム・テック・ラキアが詳しく解説します。
これから設置を検討している方も、すでに使っている方も、ぜひ参考にしてください。
ルーム・テック・ラキアでは、札幌近郊エリアを中心にストーブなど暖房機器の設置・交換対応をしています。
2階以上でストーブを取り付けたい方や、既存のオイルサーバーの交換をご検討している方はぜひ当社にお任せください。
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オイルサーバーの基本構造と役割


オイルサーバーとは、屋外の灯油タンクから屋内機器へ灯油を自動で供給するための装置です。
別名「オイルリフター」とも呼ばれ、ポンプで灯油を吸い上げ、内部に一時的に貯めながら一定の圧力で送り出します。主な構成要素は以下の通りです。
- ポンプ部:屋外タンクから灯油を吸い上げる電動モーター。
- 貯油槽:吸い上げた灯油を一時的に蓄え、安定供給を実現。
- あふれ検知センサー:内部の灯油量を検知し、ポンプのON/OFFを自動制御。
オイルサーバーの目的は「安定した灯油供給」です。
重力に頼らず、高低差があっても確実に灯油を送れるようにするため、特にタンクより上(2階など)に機器が設置されているなどのケースでは必須機器といえます。
オイルサーバーの仕組みと動作原理
オイルサーバーは、屋外のタンクから屋内のボイラーやFF式ストーブへ灯油を安定して送るための中継装置です。
内部にはモーター駆動のポンプと、油量を検知するあふれ検知センサー、さらに灯油を一時的に溜める貯油槽が組み込まれています。
この3要素が連動することで、灯油を必要なタイミングで送り出す仕組みになっています。
内部で起きている動作の流れ
- フロートが下がる(灯油が減る)
内部タンクの油面が下がると、フロートスイッチが作動。ポンプが自動的に起動します。 - ポンプが屋外タンクから灯油を吸い上げる
吸上げ配管を通して灯油を引き込み、内部タンクに溜めていきます。 - 一定量まで貯まるとポンプが停止
油面が上昇してフロートが浮くと、スイッチがオフになり吸上げを止めます。 - 燃焼機器側に灯油が流れる
ボイラーやストーブが燃焼を開始すると、内部タンクの灯油が自然流下で供給されます。
この動きを繰り返すことで、ポンプが常に「必要なときだけ動く」状態を保ち、安定した圧力で灯油を送り出しています。
つまり、オイルサーバーは“ポンプ”というよりも、灯油のリズムを調整する調整弁兼貯油ユニットのような役割を担っています。
動作の特徴
- ポンプは常時稼働せず、フロートによるON/OFF制御で必要な時だけ動作
- 電気式であるため、停電時は手動補給ができない(注意点)
- 灯油が満タンでも内部圧が一定に保たれるため、燃焼機器の火力が安定する
- 高低差がある場合への灯油供給に必須
このように、オイルサーバーは「安定した燃料ライン」を作るための中核装置とも言えるでしょう。
エア抜きの必要性と注意点


オイルサーバーを正しく稼働させるためには、配管内に溜まった空気を確実に排出する「エア抜き」が欠かせません。
灯油は一度でもラインに空気が入ると流れが途切れ、ストーブやボイラーが着火しなかったり、運転途中で止まったりします。
特に、オイルサーバーを交換した直後や、タンクが空になったあとに灯油を補充した場合は、エア抜き作業が必要になります。
灯油配管内の空気が混入しやすい場面
- 灯油タンクやオイルサーバーが空になってしまったとき
- 灯油タンクやオイルサーバーなどの灯油機器を交換・移設した直後
こうした場面では、配管内の灯油が下がり、内部に空気が入ります。
空気が混ざったままポンプを動かしても灯油が吸い上げられず、ポンプが空回りしてしまうため、燃焼機器の安全装置が作動して停止するケースもあります。
エア抜きの正しいやり方
オイルサーバーのエア抜き作業は慣れれば数分で完了しますが、手順や方法を間違えるとオイルサーバーから灯油を噴き出す恐れがありますので、専門業者へ依頼するのがおすすめです。
現在の一般的なやり方は、以下の3ステップです。
- 流出弁フックの「開」を確認する
オイルサーバーから灯油を流す状態を確認します。 - 室内側の灯油取り口(ボイラー・ストーブ側)に耐油ホースを接続する
ホースをしっかり差し込み、空気が漏れないように固定します。 - 吸引ポンプで灯油を引っ張る(吸うタイプを使用)
ポンプでホース内の空気を吸い出し、灯油が連続して流れ始めたら完了です。
💡 注意
エアを押し出す「加圧式ポンプ」は絶対に使用しないでください。
オイルサーバー本体から灯油が噴き出し、機器や壁を汚す危険があります。
必ず「吸うタイプ(負圧式)」のポンプを使用することが大切です。
作業後のチェックポイント
エア抜き後は、以下の点を確認しましょう。
- 灯油が途切れずに流れている(勢いが弱い場合は要注意)
- 燃焼機器の運転が安定している
- 灯油のにじみや漏れがない
灯油の流量に問題がなければ、石油機器に接続して作業は完了となります。
エア抜きとは関係ありませんが、劣化しやすい耐油ホースなどの状態もついでに確認して置くとGOODです。
それでも灯油が来ない場合は、配管内に空気が残っている可能性があります。
無理に続けず、専門業者に点検を依頼してください。
設置場所と施工上の注意点


オイルサーバーは、屋外タンクから屋内の燃焼機器へ灯油を安定して供給するための装置です。
据付けや移設を誤ると、吸上げ不良や灯油漏れ、火災といった重大な事故につながるおそれがあります。
ここではおおまかに設置場所と施工上の注意点を説明しますが、基本的には施工・修理・移設は必ず販売店または専門業者へ依頼するようにしましょう。
ご自身での作業は危険であり、保険・保証の対象外となる場合もあります。
基本的な施工条件
- 油タンクの灯油流出口からオイルサーバー下面までの高さ(揚程)は最高で10m以内。
灯油タンクより目安として1.5m以上10m以内の範囲内に据え付けが必要となります。 - オイルサーバーは落差圧によって燃焼機器へ供給します。
燃焼機器との落差は2m以下で使用することをおすすめします。
詳細は各燃焼機器の設置要領に従うことが推奨されています。
設置場所の注意事項(屋内・屋外共通)
- 火気・ゴミ・高温および直射日光を避けた場所に設置すること
- 防火上安全な位置に設置すること(階段・避難口付近は避ける)
- 保守・点検がしやすく、堅固で垂直な場所に設置すること
屋内設置時の留意点
屋内に設置する場合は、臭気や音、点検性にも注意が必要です。
- オイルサーバーは大気開放構造のため、灯油の臭いが発生します。 押し入れやクローゼットなど密閉空間への設置は避けてください。
- 内蔵モーターとポンプの作動音があるため、寝室や書斎など静音を要する部屋には不向きです。
- 押し入れや天井裏など、異常を発見しにくい場所への設置は危険です。油漏れなどの異常に気づくのが遅れ、事故につながるおそれがあります。
その他、細かい条件などもありますが、正しい設置方法を理解していないと灯油漏れの発生や、組み上がらないという事態にもなりかねませんので、必ず専門業者へ依頼するようにしましょう。
よくあるトラブルと対処法
オイルサーバーは構造がシンプルなぶん、使用環境や灯油残量の影響を受けやすい機器です。
ここでは、実際の現場で発生することが多い3つのトラブルを取り上げ、原因と対処をまとめていきましょう。
1. エア噛みが発生する
灯油タンクやオイルサーバー内の灯油が空になった場合、または灯油タンクやサーバー本体を交換した直後には、配管内に空気が混入してエア噛みが起こることがあります。
この状態ではポンプが空転し、灯油が吸い上がらなくなります。
エアが抜けないまま運転を続けるとポンプ内部の負荷が上がり、焼損の原因にもなります。
対処法:
まずオイルサーバー内の灯油残量を確認し、あれば自動で組み上がるかを確認。なければ足し油が必要となります。
その後、流出弁フックを「開」にしてサーバーから灯油を流す状態にし、室内の取り口コックから灯油の流量を確認。灯油が来なければ耐油ホースを接続してポンプで引きます。
空気を押すタイプのポンプを使うとオイルサーバーから灯油が噴き出す恐れがあるため、必ず吸い上げ式のポンプを使用してください。
2. 灯油が汲み上がらない
電源を入れても灯油がサーバー内に上がらない場合、主な原因はサーバーの経年劣化または灯油タンクが空です。
この状態になるとサーバー本体でエラーランプが点灯します。
- 灯油タンクの中身が空 → エア噛みが発生している可能性あり
- 灯油が入っているのに上がらない → サーバー内部のポンプ劣化
また経年劣化でポンプの吸上げ力が弱まると、灯油を汲み上げられないまま約30分で安全装置が作動し、モーターが自動停止します。
対処法:
まずタンクの灯油残量を確認し、十分にある場合はサーバー本体の経年劣化が疑われます。
ポンプなどの内部部品は分解不可のため、交換対応が必要です。
3. 灯油漏れ・にじみがある
オイルサーバーの底部や配管接続部から灯油がにじむ場合は、パッキンの劣化または締付け不良が主な原因です。
特に灯油コックなどは駆動部のパッキンが痛みやすく、経年劣化で灯油漏れが発生しやすいので注意深く観察しておきましょう。
対処法:
軽度のにじみでも使用を中止し、速やかに専門業者へ点検を依頼してください。
特に屋内設置では、臭気が拡散したり、火気に触れて引火する危険があります。
応急処置での再使用は絶対に避けましょう。
この3つのトラブルは、いずれも日常の灯油管理と点検で防止可能です。
定期的に灯油残量を確認し、タンクが空になる前に給油を行うことで、多くの不具合は未然に防げます。
よくある質問(FAQ)
Q1. オイルサーバーのエア抜きは自分でできますか?
A. できないことはありませんが、基本的には非推奨です。
誤った方法で行うと灯油が噴き出す危険があり、ポンプや配管を傷めるおそれもあります。
安全のため、販売店または専門業者への依頼をおすすめします。
Q2. オイルサーバーの寿命はどのくらいですか?
A. 一般的な耐用年数は10年です。
使用環境や設置条件によって前後しますが、吸い上げ力の低下や異音が発生したら交換を検討する時期です。
Q3. 灯油タンクが空になったあと、どれくらいでエア噛みが発生しますか?
A. タンクが完全に空になると、すぐに配管内へ空気が入ります。
ポンプを作動させても灯油が上がらない状態はほぼエア噛みです。
再給油後にエア抜きを実施することで復旧できます。
Q4. オイルサーバーを屋外に設置しても大丈夫ですか?
A. 屋外対応型であれば設置可能ですが、直射日光や雨の当たる場所は避ける必要があります。
Q5. 灯油のにおいが強くなった気がします。故障ですか?
A. 故障ではなく、オイルサーバーの構造上、大気開放口から灯油臭が漏れることがあります。
押し入れや密閉空間に設置している場合は、換気の良い場所への移設を検討してください。
オイルサーバーを長く安心して使うために


オイルサーバーは、灯油を安全に供給するための要となる装置です。
普段は意識することが少なくても、灯油タンクとボイラー・ストーブをつなぐ大切な役割を果たしています。
ただし、タンクが空になったり、交換後にエア抜きを怠ったりすると、灯油が上がらない・供給が止まるといった不具合が起きやすくなります。
また、長期間の使用によってパッキンやポンプが劣化し、灯油のにじみや吸上げ不良を招くこともあります。
こうしたトラブルの多くは、「正しい設置」と「定期点検」で防ぐことが可能です。
特にオイルサーバーは揚程・落差などの設計条件に影響を受けやすいため、設置や交換は必ず専門業者に依頼するようにしましょう。
安定して灯油を送ることができれば、暖房機器も長く快適に使用できます。
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