はじめに|突然の「88」表示に慌てないために
ある日、給湯器のリモコンに突然「88」や「888」という数字が点滅して表示され、「壊れたの?」と慌ててしまった経験はないでしょうか。
普段目にするエラーコードは「E○○」のように英字と数字が組み合わさった形式が多く、この純粋な数字だけの表示は少し異質に映ります。
そのため、初めて目にした人にとっては不安感が大きく、「給湯器が動かなくなるのでは?」と心配するのも無理はありません。
しかし、ノーリツ・リンナイ・パロマの3社に共通して、この「88」表示は重大な故障を意味するものではありません。
実際には“機器の点検時期が来たことを知らせるサイン”として設定されており、内部部品の経年劣化や安全性の確認を促す役割を持っています。

また給湯器は、設計上の標準使用期間としておおよそ10年を目安に作られています。
これは法律で定められている期間ではありませんが、メーカーが安全に使えると判断している耐用年数の目安です。10年が近づくと、熱交換器やセンサー類などの主要部品に少しずつ劣化が見え始めます。
突然の故障や性能低下だけでなく、安全面にも影響が出る可能性が高まるため、このタイミングで点検を促す仕組みが組み込まれているのです。
表示が出たからといってすぐにお湯が使えなくなるわけではありませんが点検や交換を先延ばしにすると、真冬の給湯トラブルやガス・水漏れといった深刻な事態に発展するリスクが高くなります。
つまり早めの対応が、結果的にコストや生活への影響を最小限に抑えることにつながりますので、点検・交換の検討をすべきタイミングともいえるでしょう。
このコラムでは、メーカーごとの「88」表示の仕組みと意味、ユーザーが確認すべきポイント、点検や交換を検討する際の判断基準まで、現場での経験に基づきながら詳しく解説していきます。
「88エラー」は故障ではない

まず理解しておきたいのは、「88」表示は故障コードではないという点です。
この数字は、国が定めた安全規格や、メーカー独自の安全基準に基づいて設定されており、長期間使い続けたことで生じるリスクを減らすための“予防的なサイン”です。
目安となるのは、製造からおよそ10年。この期間を過ぎると、熱交換器や各種センサーといった重要部品が少しずつ劣化し、性能の低下や安全性の確保が難しくなる恐れがあります。
メーカーはこのタイミングで点検や交換を促すため、機器内部に「累積使用年数」を管理するタイマーを組み込み、設定年数に達するとリモコンに「88」や「888」を表示させる仕組みを採用しているのです。
つまり、これは「壊れた」という緊急事態の知らせではなく、『そろそろ安全点検や交換を検討してください』というお知らせです。
表示が出た直後に使えなくなることはありませんが、このサインを放置すれば、真冬の突然の停止やガス・水漏れといった深刻なトラブルにつながる可能性が高まります。表示を見かけたら、慌てるのではなく、まずは点検や交換に向けた準備を進めることが大切といえるでしょう。
- 対象年数:製造から約10年
- 目的:安全点検や交換のタイミングを知らせる
- 発生条件:累積使用年数が基準に達した場合(内部タイマー管理)
メーカー別「88」表示の意味とリセット方法
メーカーごとに表示の仕様や表現が少し異なりますが、役割はほぼ同じです。
いずれのメーカーでも「長期使用による安全点検時期が来たことを知らせるサイン」として設定されています。
ノーリツ
- 表示例:「88」または「888」
- 意味:設計標準使用期間(10年)経過のお知らせ
- 対応:点検または交換を推奨
- リセット方法:リモコンの「運転」ボタンを5秒以内に5回押すことで、一時的に表示を消すことが可能
※88エラー(888エラー)に関するノーリツ:公式HPはこちら
リンナイ
- 表示例:「88」または「888」
- 意味:長期使用製品安全点検制度に基づくお知らせ表示
- 対応:点検または交換を推奨
- リセット方法:リモコンの「運転」ボタンを5秒以内に5回押すことで、一時的に表示を消すことが可能
※88エラー(888エラー)に関するリンナイ:公式HPはこちら
パロマ
- 表示例:「88」または「888」
- 意味:製造後10年経過を知らせる表示
- 対応:点検または交換を推奨
- リセット方法:「運転スイッチ → 給湯温度最低 → ▲▼同時長押し」
※88エラー(888エラー)に関するパロマ:公式HPはこちら
なぜ10年で「88」が出るのか
給湯器は、高温・高圧・水・ガスといった過酷な条件下で毎日稼働しており、10年を超えると以下のような劣化が進行します。
- 熱交換器の腐食・穴あき
- ゴムパッキンの硬化による水漏れ
- 電装部品の故障率上昇
- バーナー部のサビや詰まり
こうした経年劣化は、安全性や性能の低下につながります。
メーカーは事故防止のため、内部カウンターで使用期間を計測し、製造から約10年経過した段階で「88」表示を出す仕組みを導入しています。
法律・制度の背景
また「10年経過で点検表示」という仕組みは、国の安全制度にも関連しています。
- 消費生活用製品安全法(消安法)
- 長期使用製品安全点検制度(経済産業省)
長期使用製品安全点検制度では、火災や一酸化炭素中毒などの重大事故につながるおそれがある製品を「特定保守製品」として指定し、製造から10年を目安に点検を促すことを求めています。
給湯器の一部機種はこの制度の対象であり、該当しない機種でもメーカー自主基準として同様の表示を設定しているケースがほとんどです。
つまり、「88」は故障ではなく、国の制度や安全基準に基づいた“点検・交換のサイン”というわけです。
(※参考ページ:消費生活用製品安全法の概要(経済産業省))
(※参考ページ:長期使用製品安全点検・表示制度(経済産業省))
「88」が出たときにユーザーができること

給湯器のリモコンに「88」が表示されても、すぐに壊れたというわけではありません。
とはいえ、そのまま放置すると真冬の故障や思わぬトラブルにつながる可能性があります。
落ち着いて、次の流れで対応していきましょう。
1. 取扱説明書で表示の意味を確認
まずはお使いの給湯器の取扱説明書を開き、「88」表示が何を示すのかを確認します。
紙の説明書が見当たらない場合は、メーカー公式サイトのサポートページからPDFをダウンロードできます。
2. 製造年の確認
給湯器本体に貼られている銘板シール(機種名や型番が書かれた金属プレートやラベル)に、製造年月が記載されています。
「88」が出ている場合、おおよそ10年前後経過しているはずです。
3. 使用状況をチェック
以下のような症状がないか確認しましょう。
- 点火時や運転中の異音
- ガスのにおいや焦げたような臭い
- 本体や配管からの水漏れ
- お湯の出が悪い、温度が安定しない
こうした症状がある場合は、点検を急いだほうが安全です。
4. メーカーまたは販売店へ連絡
取扱説明書や製造年を確認したら、メーカーの修理受付窓口や購入した販売店へ連絡します。
「88が表示されていること」と「製造年・症状の有無」を伝えると、点検または交換の案内を受けられます。
この流れを踏めば、「88」が出ても慌てず、安全に判断と対応ができます。
点検と交換、どちらを選ぶべきか

「88」が表示されたとき、必ずしもすぐに交換しなければならないわけではありません。
ただし、判断を誤ると真冬に突然お湯が出なくなるという最悪の事態を招くこともあります。
ここでは点検と交換、どちらを選ぶべきかの目安を整理します。
● 点検を選ぶケース
- 製造から10年前後だが、比較的新しく感じられる場合
- 使用頻度が少なく、外観や動作に異常がない場合
- 「88」が出てもお湯の出や温度に問題がない場合
- 表示が誤作動の可能性もあるため、一度専門業者に確認したい場合
この場合は、メーカーや販売店に依頼して安全点検を受け、部品や内部の状態を確認します。
異常がなければ引き続き使用できますが、次の交換時期の目安を把握しておくと安心です。
● 交換を選ぶケース
- 製造から10年以上が経過している
- 修理用部品の供給終了が近い、または既に終了している
- 異音・異臭・水漏れなどの不具合が出ている
- これまでにも修理歴があり、再発の可能性が高い
特に寒冷地では、冬季に給湯器が故障すると生活全般に直結する深刻な影響が出ます。
真冬の緊急交換は納期や工事日の調整が難しく、費用も割高になりがちです。
そのため、部品供給が残っていても、冬前の早めの交換が結果的に安心・安全につながります。
88表示を放置するとどうなる?
「88」表示は“まだ動くけど安全のために点検や交換を検討してほしい”というサインです。
しかし、これを無視して使い続けると、次のようなリスクが高まります。
● 予兆なしでの故障停止
内部部品が経年劣化しているため、ある日突然動かなくなる可能性があります。
特に基板や熱交換器のトラブルは、事前の症状が出ないまま停止することも少なくありません。
● 水漏れやガス漏れ
ゴムパッキンの硬化や金属部品の腐食が進み、漏水・ガス漏れを引き起こすリスクがあります。
これは安全面で重大な問題となるだけでなく、修理費用も高額化します。
● 修理部品の在庫切れで修理不能
製造から10年以上経つと、多くのメーカーで部品供給が終了します。
在庫がなければ修理自体が不可能になり、強制的に交換するしかありません。
● 繁忙期に交換が間に合わない
冬の給湯器シーズンは工事業者が非常に混み合います。
故障してから依頼すると、交換まで数日〜数週間待たされるケースも珍しくありません。
「まだ動くから大丈夫」と考えて放置した結果、真冬にお湯が出なくなり、緊急工事に追い込まれる事例は非常に多いです。
特に寒冷地では、88表示が出た時点で点検・交換を計画的に進めることが重要です。
交換時の注意点とは?
「88」表示が出て交換を選ぶ場合は、次のポイントを事前に確認しておくと安心です。
条件や仕様を間違えると、お湯の供給不足や追加工事による予算オーバーにつながることがあります。
● 号数・設置タイプの適合
現在使用している給湯器と同じ号数・同じ設置方式(壁掛け/据置きなど)を選ぶことが基本です。
号数が小さいと湯量不足になり、大きすぎると無駄な燃料消費につながります。
● 配管位置やガス種(都市ガス/LPガス)
給水・給湯・ガス・追いだき配管の位置や口径が合わないと、追加で配管工事が必要になります。
また、ガス種を間違えると使用できないため、必ず銘板や契約内容を確認しましょう。
● 寒冷地仕様の有無(外気温-10℃以下対応など)
寒冷地では凍結防止ヒーターや断熱施工が標準装備されているタイプを選ぶことが重要です。
標準仕様のままでは、冬場に凍結して故障する恐れがあります。
FAQ(よくある質問)
Q1. 88表示が出たらすぐに使えなくなりますか?
A. いいえ、直ちに使えなくなるわけではありません。ただし安全性と信頼性は低下しているため、早めの点検や交換が推奨されます。
Q2. リセットすれば88表示は消えますか?
A. 一時的に消えますが、内部カウンターがリセットされるわけではありませんので、点検や交換を検討しましょう。
Q3. 「88」表示は自分で消せますか?
A. 一部機種ではリセット操作で消えることがありますが、根本原因は経年劣化です。安全のため、表示が出た時点で点検や交換を検討しましょう。
Q4. 「88」が出てもそのまま使い続けても大丈夫ですか?
A. すぐに壊れるわけではありませんが、突発的な故障や水漏れ・ガス漏れのリスクが高まります。特に寒冷地では、冬季に使えなくなると生活に大きな影響が出ます。
Q5. 交換と修理、どちらがおすすめですか?
A. 製造から10年以上経っている場合は、部品が入手できないことが多いため交換がおすすめです。使用年数が短く、他の部分に問題がなければ点検や部品交換で対応できることもあります。
最後に|「88」表示は安全のためのサイン、早めの行動が安心につながる

給湯器に表示される「88」は、突然の故障を予告するものではなく、「安全点検や交換時期が来ています」という重要なサインです。
法律やメーカーの自主基準に基づき、10年という節目でこの表示が出るのは、過酷な環境で毎日稼働してきた機器を安全に使い続けるための仕組みです。
放置すれば真冬に突然お湯が出なくなる、修理部品が入手できない、といった事態に直面する可能性があります。
特に寒冷地では、生活インフラとしての重要性が高く、早めの判断と対応が欠かせません。
「まだ使えるから…」と先延ばしにせず、取扱説明書やメーカー情報で表示の意味を確認し、点検または交換のスケジュールを立てましょう。
結果的にそれが、家族の生活を守り、安心を長く維持する最善の選択となります。
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