
エラー920は突然訪れる。
ある日突然、給湯器のリモコンに「920」というエラーコードが表示され、お湯が出なくなった…。
エコジョーズを使用している方でそんなトラブルに直面した方も多いのではないでしょうか?
この「920」というエラーは、特にエコジョーズを使用しているご家庭においてよく見られる現象です。表示の意味を正しく理解しないまま放置してしまうと、思わぬ故障や高額な修理費用につながる可能性もあります。
本記事では、エラー920の正体とそれが示す「中和器」の重要性にフォーカス。
さらに、交換の目安や費用、業者を呼ぶタイミングなど、現場目線で分かりやすく解説していきます。
すでに他社の記事を読んだことがある方も、実際のトラブル事例や後悔しない選択のための視点を交えた内容で、さらに一歩踏み込んだ情報をご提供します。

給湯器のエラー920とは?

「エラー920」は、潜熱回収型ガス給湯器(通称:エコジョーズ)に表示される代表的なエラーコードのひとつです。これは「中和器の劣化」や「交換時期の到来」を知らせる警告サイン。
リモコン上では一見ただの数字ですが、この表示が意味するのは「そろそろ中和器の交換をしないと、安全に使用できないかもしれませんよ」という機器からのアラートともいえるでしょう。
対応機種としては、リンナイ、ノーリツ、パロマといった主要メーカーのエコジョーズシリーズ全般に共通して現れます。
なお、このエラーは「緊急停止系」のものではないため、リセット操作で一時的に消えることもあります。しかし、それで解決したと思って放置するのは危険です。
まだ使えるからと放置してしまうと「エラー920」から「エラー930」へと変わり、給湯器自体の使用が不可となってしまうため、早期対応が肝心です。
中和器とは何か?その働きと重要性

中和器とは、エコジョーズ給湯器に標準装備されている部品で、排出される「酸性のドレン水(排水)」を中和する役割を持っています。
■ そもそもなぜ“中和”が必要なのか?
エコジョーズは、従来の給湯器と比べて排気熱を再利用することで高効率を実現していますが、その過程で水蒸気が凝縮され、「酸性のドレン水」が発生します。この酸性水は、配管や排水管、床下の設備に悪影響を及ぼすため、pHを中性に近づけてから流す必要があります。
中和器はその処理を担う重要パーツであり、以下のような内容物と構造になっています。
■ 中和器の仕組みと寿命要因
・内容物:炭酸カルシウムやマグネシウムなどの“中和剤”を内部に充填
・ドレン水が通過することで酸を中和し、安全な水へと変化
・時間とともに中和剤が溶けて消耗 → 処理能力が低下 → エラー920表示へ
また中和器は5〜7年のうちに寿命を迎える消耗品です。つまりエラー920は「機械が壊れた」というより、「そろそろ交換してね」というメンテナンスの合図ともいえるでしょう。

中和器の寿命と交換時期の見極め方
中和器は消耗品である以上、いつかは必ず寿命がきます。ここではその目安と、交換すべきタイミングを具体的に解説します。
■ 一般的な使用年数
・約5~7年(メーカーや使用頻度、地域の水質により前後)
・毎日使用する家庭、床暖房や追い焚き機能を頻繁に使う家庭は短くなりがち
■ 寿命が近いサインとは?
・リモコンにエラー920が表示される(各社で若干番号の違いも有り)
・排水口から異臭がする(中和機能の低下)
・水漏れや給湯能力の低下
・本体から「チョロチョロ」という排水音がやたら長く続く
■ 中和器交換を迷ったときの判断基準
・中和器だけでなく、給湯器自体の使用年数も重要な判断材料
⇒給湯器の使用年数が10年未満 → 中和器交換で延命可能
⇒給湯器の使用年数が10年以上 → 中和器だけでなく本体の劣化も考慮して「本体ごと交換」を検討
■ 実際の交換の流れ
Step1,メーカーや設置業者に点検依頼
Step2,中和器の現状を確認(取り外して中身をチェック)
Step3,必要ならその場で交換対応(所要時間約30~60分程度)
リモコンのエラー表示は「SOS信号」。消えても根本原因が解決していなければ再発するため、「一時的に直った」と安心せずに、専門業者の点検を受けるのが確実です。
「エラー920」から「エラー930」への進行条件と特徴

給湯器のエラー920は、メーカーによって特徴が若干異なります。ここでは、「エラー920」から「エラー930」への進行条件と主要メーカー3社(リンナイ・ノーリツ・パロマ)の特徴と対応方法を解説します。
意外と知られていませんが、同じ「920」でも「930」までに変わるケースの違いがあるのです。
また、各社とも共通して「エラー920」を放置した場合、より深刻な「エラー930」に進行し、給湯器の運転が停止する仕様になっています。これは中和器の寿命到達を示す緊急停止コードであり、早めの交換が重要です。
エラー930へ移行する主な条件
まず以下の条件が満たされた場合、エラー920は強制停止を伴う「エラー930」へ移行します。
・中和剤の処理能力が限界に達した場合
炭酸カルシウム等の中和剤が完全に消耗し、酸性ドレン水を処理できなくなった状態。
・一定期間の使用継続(例:50時間程度)
エラー表示後も給湯を継続した場合、一定時間で930へ切り替わる仕様がある。(例:ノーリツ系)
・累積燃焼時間や使用回数による判定
機種ごとに設定された使用限界(累積時間や燃焼回数)に基づき、自動的に寿命判定。
・排水不良や異常の併発
中和剤の劣化に加えて、排水詰まりや逆流などが検知された場合、優先的に930へ移行する場合も。
各社メーカーの特徴と実際の声
■ リンナイ(Rinnai)

主な対応機種:RUF-Eシリーズ など
エラー内容:中和剤寿命予告(リモコンには「920」もしくは「921」表示)
対応方法:中和器交換が必要。一定期間使用可だが、放置でエラー930へ移行し使用不能になる場合もあり。
特徴:中和器寿命のカウントが累積式で、使用状態が一定条件に達するとエラー930に自動移行。具体的な時間・回数は非公開。
▶ 実際の声:「何度リセットしても920が再発し、交換依頼。使用8年目でした」
■ ノーリツ(NORITZ)

主な対応機種:GT-Cシリーズ、GTH-Cシリーズなど
エラー内容:中和器寿命を知らせる警告(一定期間経過でエラー930へ進行)
対応方法:中和器交換が必要。必要に応じて排水経路や水路の点検も推奨される。
特徴:累積燃焼時間や内部記録値を元に段階的に警告→強制停止へ。920→930の流れはやや穏やか。
▶ 実際の声:「リモコンに見慣れない数字が出て慌てたが、調べたら中和器の寿命だった。使用から6年目で交換」
■ パロマ(Paloma)

主な対応機種:FH-Eシリーズなど
エラー内容:中和剤減少報知。(リモコンには「920」もしくは「92」表示)
対応方法:中和器交換が必要。中和機能が十分に果たせなくなるとエラー930に進行し、本体が停止する
特徴:リセット不能なエラー930へ比較的早く移行しやすい傾向。DIY判断が難しい機種も。
▶ 実際の声:「920エラーが出ていたのは知っていたが、突然お湯が止まり、業者に見てもらったら中和器だった」
結論:920は“警告”、930は“停止”
エラー920は“使えるけれど限界が近い”というサインであり、見逃すと確実に930へと進行し、給湯器が停止します。
「まだお湯が出るから大丈夫」ではなく、920が出たら早期の点検・交換を検討することが、生活の安心につながります。
突然リモコンにエラー920が表示されても、焦らず落ち着いて行動すれば大きなトラブルは避けられますので、判断に迷ったら「使用年数」「給湯頻度」「エラーの出方(頻度・再発)」などを総合して、早めの相談がベストです。
実際には、どのメーカーであっても中和器の交換対応は比較的スムーズで、部品在庫も一般的には安定しています。気負わずに専門業者へ相談してみることが、長期的なトラブル回避につながるでしょう。
エラー920が出たときの正しい対処法

給湯器のリモコンに「エラー920」と表示されたら、まず冷静に状況を確認しましょう。
上記でも紹介しましたが、「エラー920」は中和器の劣化を知らせる警告であり、放置すれば最終的に「エラー930」へと進行して機器が停止する恐れがあります。
しかし、正しい手順で対応すれば、大がかりな修理や費用を回避することも可能です。
この章では、各Stepに分け実際の流れに沿ってわかりやすく解説します。
Step1:リモコンのエラーコードを記録する
・表示されている「920」のエラーコードと発生日時をメモ
・同時に起きている現象(お湯が出ない・異音・異臭など)も記録しておくと、業者対応がスムーズ
Step2:一度だけ電源リセットを試みる
・リモコンの電源をOFF→ONにしてエラーが消えるかを確認
・一時的に消えても、すぐに再表示されるなら中和器の劣化が進行中と考えてよい
⚠ 注意:何度もリセットを繰り返すのはNG。中和機能が失われたまま使い続けると、排水管や床下設備を腐食させる恐れがあります。
Step3:使用年数を確認する
・給湯器の設置年数が5年以上の場合、中和器の寿命の可能性大
・設置後10年を超える場合は、本体交換も視野に入れる(中和器交換+点検コストの比較)
⚠ 注意:中和器は消耗品に該当するため、たとえメーカー保証期間内であっても無償対応にはならないことが一般的です。
Step4:専門業者に相談・見積もりを依頼する
・メーカー公式サポート or 設置工事店に連絡
・中和器の在庫確認と、訪問日時の調整
この段階で「エラー920であること」「設置年数」「使用状況」を伝えると話が早い
プロに任せることで、作業時間は30分〜1時間程度。費用も1〜2万円台で済むことが多く、放置による重大トラブルに比べれば圧倒的に安く済みます。
実際の交換事例とユーザーの声
実際にエラー920が表示され、中和器を交換したユーザーの事例をご紹介します。
リアルな体験談を知ることで、自分のケースに置き換えてイメージしやすくなるはずです。
事例①:7年目のリンナイ給湯器で交換
「お湯は出ていたのに、突然リモコンにエラー920の表示。リセットしてもすぐ再表示されたので業者を呼んだら、中和器の寿命とのこと。7年使っていたので納得して交換。作業は40分くらいで終わって、費用は約17,000円でした。」
事例②:パロマ製の給湯器で突然の使用停止
「朝にお湯が出なくなってリモコンを見ると見慣れない数字(920)が。業者さんに見てもらったら中和器の劣化が進んでいて、もう930寸前とのこと。6年近く使っていたため、今回は中和器交換だけで済んで助かりました。」
事例③:ノーリツ製での事前対処
「年に1回の点検で、設置から約5年経過していたため“そろそろ中和器の交換も検討が必要”と助言を受けて、予防的に中和器を交換。リモコンエラーが出る前に対処できたので、安心感がありました。費用は約14,000円でしたが急に使えなくなるのも困るので満足しています。」
よくある質問と対応チェックリスト
最後に、エラー920と中和器交換に関して、ユーザーからよく寄せられる質問と、その確認ポイントをまとめておきます。
Q1. エラー920は自分でリセットすれば直る?
A.一時的に消えることがありますが、根本原因(中和器の寿命)は改善されていないため、何度もリセットするのは危険です。
Q2. 中和器って本当に必要なの?
A.潜熱回収型の給湯器(=エコジョーズ)は排出されるドレン水が酸性のため、中和器で中和しないと排水管や床材を傷める恐れがあります。必要不可欠な部品です。
Q3. 920を放置するとどうなる?
A.エラー930に進行し、給湯器が完全に停止します。その場合、緊急修理対応が必要となり、費用も高くなる可能性があります。
Q4. 修理か買い替えか、どう判断する?
A.設置から10年以上経過していれば、本体交換も選択肢のひとつです。点検費や中和器交換費を加味して、総合的に判断しましょう。
✅ 対応チェックリスト
・リモコンの920表示を記録したか?
・電源リセットは1回だけ試したか?
・設置年数が5年を超えているか確認したか?
・メーカーや設置業者に連絡したか?
迷ったら、まずは専門業者に状況を伝え、現地調査・見積もりを依頼することが安全かつ確実な対応です。
これで、エラー920が出たときに焦らず対応できる基礎知識は万全です。最後に、本記事の要点を簡単に振り返っておきましょう。
まとめ:エラー920の対処は早めが鍵
・エラー920は「中和器の寿命サイン」であり、放置すれば930に進行し給湯器が停止する
・各メーカーで表示や対応に多少の違いはあるが、基本は「中和器の交換」で解決できる
・使用年数5年〜10年で発生することが多く、費用は1.5万〜3万円前後が目安
・自分でできる対処は限定的。早めに専門業者に相談するのが最善策
中和器は小さな部品ですが、給湯器全体の安全運転を支える重要な存在です。異常を放置すると、排水不良や給湯停止といった不便だけでなく、機器本体の寿命短縮や追加修理のリスクも高まります。
一見すると軽微なエラー表示でも、その裏には「内部で確実に進行している劣化」があると考えるべきです。「まだ動いているから」と使い続けるのではなく、早期のメンテナンスを習慣化することで、将来的な大きな出費や急なトラブルを未然に防げます。
安心・快適な暮らしを守るためにも、ぜひ今回の知識を日常管理に役立てていただけると幸いです。
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