
エコジョーズと中和器の関係とは?

エコジョーズとは、従来のガス給湯器よりも高効率な「潜熱回収型給湯器」のことを指します。

お湯を作る過程で出る排気熱を再利用することで、ガスの使用量を削減できる省エネ機器として広まりました。
家庭のガス代を抑えながら、CO2排出量も減らせることから、多くの住宅に導入されています。
しかし、この“高効率化”の裏には見落とされがちな要素があります。それが「中和器(ちゅうわき)」という部品です。
エコジョーズの仕組み上、潜熱回収によって排出される“排水”が酸性に傾きます。
この酸性水は、環境や配管にとって非常に有害。これを中和する装置として、「中和器」は非常に重要な役割を果たしているのです。
この記事では、「エコジョーズ」と「中和器」の関係や仕組みをわかりやすく解説するとともに、各メーカー(ノーリツ・リンナイ・パロマ)における中和器関連のエラーコード、交換時期、修理・交換費用、保証の実態まで、中和器に関するあらゆる疑問を網羅的に解説していきます。
「中和器って必要?」「交換するといくらかかる?」「エラーコードが出たけどどうすれば…?」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
中和器の役割と仕組みをわかりやすく解説

エコジョーズは潜熱回収を行うため、排気ガスが冷やされ水滴になります。
この凝縮水には硫黄酸化物や窒素酸化物が含まれており、強い酸性を示します。もしこの酸性水をそのまま下水に流せば、配管の腐食や環境汚染の原因となるでしょう。
この問題を解決するために設けられているのが「中和器」です。
中和器の内部には、中和剤(主に炭酸カルシウムや石灰石)などのアルカリ性物質が充填されており、排水が通過することで酸性度が中和されます。これにより、環境に配慮した形で排水を処理することができます。
✅仕組みのポイント
・酸性水 → 中和器 → 中和処理された水 → 排水
・中和材の寿命は有限。使い切ると処理能力がなくなるため交換が必要。
エコジョーズに搭載される中和器の寿命と交換タイミング
エコジョーズの中核機能である「潜熱回収」を安全に維持するうえで、中和器は欠かせない存在です。
しかし、この中和器は半永久的に使える部品ではなく、一定期間ごとに交換が必要な“消耗品”です。
中和器内部には中和剤(主に炭酸カルシウムや石灰石など)が充填されており、この中和剤が酸性の凝縮水と反応することで中和が行われます。
ですが、使い続けることで中和剤は徐々に劣化・消耗していき、いずれ中和能力が失われてしまうのです。
中和能力が低下すると、エラーコードが表示されるだけでなく、給湯器や排水管の腐食、さらには給湯器本体の故障にもつながりかねないため、寿命を把握し、適切なタイミングで交換することが重要です。
また中和器の寿命が尽きると、酸性排水をうまく処理できなくなり、給湯器にエラーが表示されるようになります。
この時点で放置すると、排水管の腐食や給湯器内部への悪影響が生じ、修理費用が高額化するケースもあります。
目安として使用開始から約7年~8年を超えたら、点検・交換の検討をするのが理想的です。
✅寿命に影響する主な要素
・家族人数(お湯や暖房の使用頻度)
・使用時間や季節(冬場は使用が増える)
・設置場所の通気性(湿気など)
「エコジョーズ 中和器」関連の主なエラーコード一覧(ノーリツ・リンナイ・パロマ)
✅ノーリツ(Noritz)
・エラー920:中和器寿命予告
・エラー930:中和器寿命
✅リンナイ(Rinnai)
・エラー920:中和器寿命予告
・エラー930:中和器寿命
✅パロマ(Paloma)
・エラー920:中和剤減少報知
・エラー930:中和剤交換時期報知
各社エラー920、930が出た場合は要注意ですね。
これらのエラーが出た場合、中和材の消耗や中和器の寿命となるケースがですので、早期対応が必要です。
中和器の修理・交換費用の目安
中和器は本体の中でも比較的小さな部品ですが、専門知識がないと交換は困難です。以下は目安費用です。
✅項目 費用の目安(税込)
・中和器部品代:約10,000円~20,000円
・交換工賃:約10,000円~15,000円
・合計:約20,000円~35,000円
中和器は本体と一体化しているタイプもあり、取り外しできない場合は給湯器ごと交換になることもあるので、事前の確認が重要です。
✅自分で交換できる?
一部機種ではDIY交換可能な設計もありますが、排水処理を含むため基本的には専門業者への依頼が推奨されます。
メーカー保証はどこまでカバーされる?
エコジョーズの中和器に関する保証内容は、メーカーや製品の種類、所有者登録の有無によって異なります。
以下に、主要メーカーであるノーリツ、リンナイ、パロマの保証内容をまとめました。
基本的にほとんどのエコジョーズがBL認定品(=ベターリビング認定)となります。
✅ノーリツ(Noritz)
✅ 標準保証
・BL認定品:2年間
🔄 延長保証「安心プランS」
・保証期間:5年・7年・10年(メーカー保証期間を含む)
(加入条件:設置後、BL認定品は2年以内、非BL認定品は1年以内に申し込み)
・保証料:機種や保証期間により異なる。
中和器の扱い:中和器は消耗品とされ、通常の使用による中和剤の消耗は保証対象外。ただし、製品の不具合による故障は保証対象となる場合があります。
✅リンナイ(Rinnai)
✅ 標準保証
・BL認定品:2年間
🔄 延長保証
・あんしんの3年保証:所有者登録により、保証期間を3年に延長
・有料延長保証「ワランティV」:保証期間:5年・7年・8年・10年
(加入方法:テックマークジャパンの加盟店を通じて申し込み)
・保証料:機種や保証期間により異なる。
・中和器の扱い:中和器は消耗品とされ、通常の使用による中和剤の消耗は保証対象外。ただし、製品の不具合による故障は保証対象となる場合があります。
✅パロマ(Paloma)
✅ 標準保証
・BL認定品:2年間
🔄 延長保証
・所有者登録による延長:BRIGHTS(ブライツ)シリーズは、所有者登録により保証期間が5年に延長
・有料延長保証「HOT安心システム」:保証期間:5年・7年・8年・10年
(加入条件:設置後、2年以内に申し込み)
・保証料:機種や保証期間により異なります
・中和器の扱い:中和器は消耗品とされ、通常の使用による中和剤の消耗は保証対象外。ただし、製品の不具合による故障は保証対象となる場合があります。
中和器は消耗品であり、通常の使用による中和剤の消耗は保証対象外となることが一般的です。しかし、製品の不具合による故障については、保証期間内であれば対応してもらえる可能性があります。
また、延長保証に加入することで、標準保証期間を延ばすことが可能です。特に、所有者登録を行うことで無償で保証期間が延長される場合もありますので、購入時に確認し、登録を行うことをおすすめします。
保証内容や期間は製品や契約内容によって異なるため、詳細は各メーカーの公式サイトや取扱説明書を参照し、必要に応じてメーカーや販売店に直接お問い合わせください。
もし中和器を放置したら?実害とリスク
「中和器が劣化しているかもしれない」「エラーコードが出ているけど、まだ使えるし大丈夫だろう」――
そう思って放置してしまうと、思わぬ高額な修理や住宅設備全体への悪影響に発展するおそれがあります。
中和器は、エコジョーズから排出される酸性の凝縮水を中和するための“フィルター”のような役割を果たしています。もしこの中和機能が失われたまま給湯器を使い続けると、以下のような深刻なトラブルが発生します。
✅中和器を放置した場合に起こる主なリスク
1. 排水配管の腐食・破損
酸性の排水が中和されずそのまま流れると、樹脂製・鉄製に関係なく、排水管が急激に腐食して穴が開く可能性があります。特に古い住宅では、床下で水漏れが進行して初めて異変に気づくというケースもあります。
2. 給湯器本体の故障
排水がうまく流れなくなると、熱交換器や内部基板にも水分や酸が逆流し、給湯器そのものがショート・腐食・エラー停止に陥ることがあります。このような場合、修理費は数万円以上、最悪の場合は本体交換になることも。
3. におい・詰まり・排水不良などの生活トラブル
中和されていない酸性水は、悪臭の原因になったり、配管内部にスケール(固着物)を蓄積させてしまうことがあります。結果として「水が流れない」「逆流する」「異臭がする」といった日常生活に直結するトラブルを引き起こします。
4. エラー頻発による給湯の停止
中和器が正常に機能していないと、排水センサーが作動して頻繁にエラーコードが表示されます。使用中に突然お湯が出なくなるなど、生活の快適性を著しく損なう事態に繋がります。
5. 法令違反の可能性も
エコジョーズの設置にあたっては、中和器の設置と機能維持がメーカー・自治体基準で義務付けられている場合があります。中和処理されていない排水をそのまま流し続けていると、環境基準に違反することもあり、トラブルが大きくなれば修理では済まない責任問題に発展する可能性もゼロではありません。
放置リスクは「静かに」「確実に」積み重なるー
中和器のトラブルは、ある日突然爆発的に起きるものではなく、少しずつ、確実に劣化が進み、ある日限界を超えるというのが実際のところです。特に使用開始から5年以上が経過している場合、表面的な異常がなくても内部では劣化が進行している可能性があります。
「異常が起きてから動く」のではなく、「問題が起きる前に備える」という意識が、結果的にコスト面でも安全面でも大きなメリットにつながります。
中和器の中身はどうなってる?(中和剤の素材と種類)

中和器の中に入っている中和剤は、酸性水を中和するためのアルカリ性物質です。主な素材は以下の通りです。
・炭酸カルシウム(石灰石):最も一般的でコストも安い
・マグネシウム系中和材:反応効率が高いがやや高価
・セラミック系:長寿命タイプに使われることが多い
これらの素材は、数年単位で劣化・消耗していきます。中には詰まりを起こしやすい粗悪品や非純正品もあるため、交換時には純正品の使用がおすすめです。
よくある質問Q&A
基本的には推奨されません。内部の構造が複雑で、誤って破損するリスクがあります。
給湯器のモデルによりますが、多くの場合は中和器だけの交換が可能です。ただし、部品供給が終了している場合は本体ごとの交換が必要になるケースも。
給湯器の販売店またはメーカー認定の修理業者が確実です。ガス会社が提携業者を紹介してくれることもあります。
はい、あります。詰まりや排水不良によって基板や熱交換器にダメージが及ぶと、修理費用は数万円〜10万円を超える場合も。
まとめ:中和器は小さな部品、でも重要な存在
エコジョーズは、省エネ性能に優れた現代の給湯器として広く普及していますが、その高効率を支えているのが「中和器」という小さな部品です。
中和器が担っているのは、排熱から生じる酸性の凝縮水を安全に排出するという、給湯器全体の安全性と長寿命に直結する重要な役割です。
一見地味な存在ではありますが、中和器が正常に機能しなければ、
・排水の詰まり
・給湯器の内部腐食
・排水管の損傷
・環境への悪影響
といった深刻なトラブルに直結します。
また、中和器は経年劣化する消耗部品であり、寿命を超えると中和剤の効果が薄れ、給湯器が異常を検知してエラー表示されることも少なくありません。
修理や交換は早期対応すれば約2〜4万円程度で済むことが多いものの、放置すると給湯器本体の故障に発展し、数万円〜10万円以上の高額修理に発展する可能性もあります。
さらに、基本的に各メーカーでは中和器の保証が本体とは別扱いになっており、中和器の点検・交換はユーザー自身の注意が必要です。
特に設置から5年以上経過している場合は、見た目に異常がなくても一度点検を依頼するのが望ましいでしょう。
✅今すぐできるアクションチェック
・取扱説明書で「中和器」や「排水」に関する項目を確認
・最後の点検やメンテナンスがいつだったか把握
・「エラーコード」が出たら放置せず早めに対応
・修理・交換が必要なら、まずはメーカーやガス会社に相談
中和器は、「問題が起きてから」ではなく「問題が起きる前に」対応することが大切です。
給湯器を長く安全に使い続けるためにも、中和器の存在と役割を正しく理解し、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
✅住宅設備のことならルーム・テック・ラキアにお任せください!
エコジョーズの導入には、住宅の構造や気候条件に適した施工が欠かせません。
ルーム・テック・ラキアでは、地域に根ざした経験を活かし、多くのご家庭に最適な機器選びと丁寧な設置を行ってきました。
「どこに相談すればいいかわからない」
「排水処理や設置条件が不安」
そんな方は、どうぞお気軽にご相談ください。
私たちは、安心して任せられる“暮らしの設備パートナー”を目指しています。

まずはお気軽にご相談ください!