
なぜ今「潜熱回収型給湯器」が注目されているのか?
「給湯器の寿命が近い気がする」「ガス代が高騰している」「次に買い替えるなら、省エネ性が高いものがいい」——そう考えているご家庭にとって、今最も注目すべき設備のひとつが「潜熱回収型給湯器」(=エコジョーズ)です。
従来のガス給湯器では、燃焼時に発生する排気ガス中の熱はそのまま大気に放出され、エネルギーが無駄になっていました。
潜熱回収型給湯器はエコジョーズとも呼ばれ、その排熱(潜熱)を再利用することで給湯効率を大幅に向上させ、エネルギーの無駄を削減する次世代型の省エネ給湯器です。
特に、光熱費の見直しや環境配慮が重視される今、住宅設備のなかでも「ランニングコストに直結する給湯器」は、賢い買い替えで数万円単位の節約につながります。
この記事では、潜熱回収型給湯器の仕組みやメリット・デメリット、導入に適したご家庭の特徴、さらに導入時の注意点まで、これから選ぶ方が後悔しないために必要な情報を丁寧に解説します。
潜熱回収型給湯器(エコジョーズ)とは?
潜熱回収型給湯器とは、ガスを燃焼させる際に発生する排気ガス中の水蒸気が、水に戻るときに生じる熱(=潜熱)を再利用できる構造をもつ高効率型のガス給湯器です。
これまでの給湯器では、燃焼後の排気ガスに含まれる熱エネルギーはそのまま大気に放出されており、大きなエネルギーロスが発生していました。
しかし、潜熱回収型ではこの熱を再び給湯に活用することで、従来にない省エネ性を実現しています。
この技術は、もともと産業用の大型ボイラーなどで使われていたもので、家庭用に小型化・安全化され、「エコジョーズ」という名称で普及しています。
エネルギー効率が高く、燃焼効率だけでなくガス代や環境負荷の低減にも貢献する次世代型給湯器として注目されています。
一般的なガス給湯器との違い

潜熱回収型給湯器と従来型のガス給湯器の最大の違いは、“排熱の活用”の有無です。従来型では、燃焼によって発生した熱の一部が排気ガスとしてそのまま排出されてしまい、エネルギーの多くが無駄になっていました。
一方、潜熱回収型給湯器では、その排気ガス中の水蒸気を冷却・凝縮することによって発生する「潜熱」を取り込み、再び水の加熱に利用する仕組みになっています。
この潜熱を回収することで、給湯器全体の熱効率は約95%まで向上。ガス代の節約だけでなく、CO2排出量の削減にもつながり、環境面でも優れた性能を発揮します。
また、燃焼時の温度や構造にも違いがあります。従来型では燃焼後の排気温度が非常に高く(約200℃)、周辺部材への負担が大きくなる傾向があります。潜熱回収型は約50℃まで排気温度が下がるため、住宅や配管への熱ダメージが少ないという副次的メリットもあります。
さらに、構造上の違いから発生する「ドレン排水」も見逃せません。潜熱回収型では水蒸気の凝縮により1日あたり数リットルの排水が発生します。
これは中和器を通して排水する必要があり、設置場所や排水設備にも一定の条件が求められるので設置の際は注意が必要です。


潜熱回収の仕組みと熱交換の原理

潜熱回収型給湯器では、2つの熱交換器が使われています。
まず、一次熱交換器でガスを燃焼して水を加熱します。その後、排気ガスが二次熱交換器を通ることで冷却され、水蒸気が凝縮し、潜熱が回収されます。
この再回収された熱が、さらに水を加熱する工程に使われることで、給湯効率が向上します。これが95%前後という高いエネルギー効率を生む理由です。
また、排気温度が下がることで外部への熱損失も減り、周辺機器や住宅への影響も軽減されます。
潜熱回収型給湯器の主なメリット
1. 光熱費の削減
ガスの使用量が減るため、月々のガス代が抑えられます。年間を通じて1万円以上の節約が期待できる家庭もあります。
2. CO2排出量の削減
燃焼効率が高いため、同じ作業量に必要な燃料が減り、環境負荷の軽減につながります。これは企業や自治体など、環境配慮を重視する組織でも重要視されているポイントです。
3. 住宅性能の向上
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅や長期優良住宅など、省エネ性を求められる住宅でも、給湯効率の高さが評価されることがあります。
4. 排熱による機器保護
排気温度が下がることで、配管や外壁への熱ダメージが少なくなり、設備や住宅全体の寿命延長につながります。
5. リセールバリューの向上
省エネ性能の高い住宅設備を備えることで、住宅の資産価値が高まり、将来的な売却時にも有利になることがあります。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅や長期優良住宅など、省エネ性を求められる住宅でも、給湯効率の高さが評価されることがあります。
5. デメリットと導入前の注意点
1. 初期費用が高い
潜熱回収型は構造が複雑なため、本体価格や工事費が従来型よりやや高くなります。とはいえ、長期使用によるランニングコスト削減を考えると、元は取れる場合がほとんどです。
2. ドレン排水処理が必要
潜熱を回収することで発生する水(ドレン水)を排水処理する必要があり、排水経路の確保も必要となります。
3. メンテナンスと中和器交換
ドレン排水は酸性であるため中和器を通して処理する必要があります。この中和器は消耗品であり、おおむね7年~8年に一度程度の交換が必要です。
4. 設置場所に制約がある
排水経路の確保や十分なスペースが必要となるため、集合住宅や設置スペースの限られた戸建てでは導入が難しい場合があります。
6. 適した家庭と導入の目安

潜熱回収型給湯器は、すべての家庭にとって万能というわけではありませんが、「お湯の使用頻度」「家族構成」「住宅の仕様」といった条件によっては、非常に大きなメリットをもたらす可能性があります。
たとえば、4人以上の家族で日常的にお湯をたくさん使うご家庭では、熱効率の高い給湯器に切り替えることで、年間を通してガス代を大幅に削減できる可能性があります。
また、すでに10年以上使用している給湯器をそろそろ交換したいと考えている場合、今後10年〜15年を見据えて「省エネ性」「経済性」「環境性」をバランスよく兼ね備えた機種を選ぶことは非常に合理的です。
さらに、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など住宅の省エネ性能を高めたい方や、エコ意識の高いライフスタイルを意識している方にとっても、潜熱回収型の導入は十分に価値ある選択肢です。
✅ 特におすすめの家庭の例
・4人以上の家族で、お湯の使用量が多い家庭
・築10年以上で、給湯器の交換時期を迎えている住宅
・今後も10年以上同じ住宅に住む予定がある方
・ガス代の高さが気になっている家庭
・環境負荷の少ない設備を選びたいと考えている方
ランニングコストを抑えながら、住まいの快適性と環境配慮を両立させたい。そんなニーズに応えられるのが、潜熱回収型給湯器です。日々の暮らしの質を高める“見えない投資”として、ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
7. 費用感と導入までの流れ
潜熱回収型給湯器の導入を検討する際、多くの方が最も気になるのが「費用感」と「設置の流れ」です。
従来型と比較すると本体価格や工事費はやや高めですが、その分、長期的な光熱費の削減や環境性能の高さで十分なメリットを得ることができます。
給湯専用タイプと、暖房機能も備えた多機能タイプ(セントラル暖房対応)では価格帯に大きな差があるため、ご家庭のライフスタイルや既存設備との相性を踏まえた選定が重要です。
また、既存設備の撤去や排水処理の有無などによっても工事費が変動します。事前に見積もりを複数社から取得することで、トータルコストと施工内容のバランスを見極めることがポイントとなります。
【費用感】
■給湯専用タイプの場合:本体価格:15万~25万円
工事費(配管・設置含む):10万~15万円
合計:25万~40万円前後(※1)
■暖房給湯一体型タイプの場合(セントラル暖房対応):本体価格:35万~55万円
工事費(暖房配管、排水処理含む):20万~30万円
合計:50万~80万円前後(※1)
(※1:本体のグレード、設置タイプ、ガスの種類、オプションの有無、必要工事の差で価格が変わります。)
■交換時の追加費用 ・既存設備の撤去:1~3万円
・排水管新設(エコジョーズは排水が出る):2~5万円
・寒冷地対応オプション(ヒーターなど):1~3万円
【導入までの流れ】
Step 1:現地調査(無料見積もり)
まずは施工業者が自宅に訪問し、設置スペース・既存給湯器・配管状況・排水ルートなどをチェックします。ここで「設置可能か」「追加工事が必要か」を確認し、最適な機種を選ぶための基礎情報を収集します。
Step 2:機種選定とプランの確定
調査結果をもとに、家庭の湯使用量や暖房有無に応じたタイプ(給湯専用/暖房一体型)を決定。中和器の有無、寒冷地対応などオプション仕様もここで相談します。数社から相見積もりを取ると、価格と内容の比較がしやすく安心です。
Step 3:施工日の調整と準備
工事日が決まったら、屋外設置スペースの一時的な片付けや、停湯に備えた準備(水回りの利用計画)をしておきましょう。工期は半日〜1日程度が一般的です。
Step 4:設置・試運転・動作確認
当日は、既存給湯器の撤去 → 新機種の設置 → 配管接続 → 排水経路の確保 → 試運転までを一貫して行います。施工後にはお湯の出方や温度の安定性などを確認し、取り扱い説明を受けて完了となります。
8. よくある質問(FAQ)15選
Q.潜熱回収型給湯器とエコジョーズは同じですか?
→ はい、同じです。エコジョーズは潜熱回収型給湯器の家庭向け名称です。
Q.ドレン排水って何ですか?
→ 水蒸気を冷却してできた水で、排水処理が必要です。
Q.ドレン排水は酸性なの?
→ はい。酸性のため、中和器で処理します。
Q.中和器って何年ごとに交換?
→ 約7年~8年が目安です。
Q.排水処理ができない場所には設置できないの?
→ 基本的には難しいですが、条件によっては施工可能な場合もあります。
Q.設置にかかる工事時間は?
→ 約半日から1日が目安です。
Q.給湯能力は従来型と変わらない?
→ はい、同等かそれ以上の能力があります。
Q.冬場でも安定して使える?
→ はい。寒冷地の場合は基本的に屋内設置が主流ですが、外気温に応じた制御機能が備わっています。
Q.音はうるさくないの?
→ 稼働音は静かで、通常の生活では気にならないレベルです。
Q.メーカー保証はある?
→ 一般的に2年ですが、各社で有償延長保証があります。
Q.LPガスでも使える?
→ 都市ガス・LPガスどちらにも対応しています(機種は要確認)。
Q.買い替えのタイミングは?
→ 給湯器の寿命は約10年。異音や温度ムラが出たら検討を。
Q.湯切れしにくいですか?
→ 高効率なため、必要量に応じたお湯が供給されやすくなっています。
Q.どのメーカーがおすすめ?
→ ノーリツ・リンナイ・パロマなどが有名で、住宅に応じて選定可能です。
Q.月々のガス代はどのくらい変わる?
→ 家族構成によりますが、年1〜2万円の削減例もあります。
9. 導入チェックリスト

潜熱回収型給湯器の導入は、単に機器を購入して設置するだけでは済みません。
設置環境や配管条件、家族構成、使用状況など、複数の要素を事前に確認しておくことで、導入後のトラブルや追加費用を未然に防ぐことができます。
特に寒冷地や排水経路の確保が難しい住宅、築年数の古い住まいなどでは、「最適に使えるか」だけではなく「設置できるか」を見極める視点が大切です。
以下のチェックリストを参考に、導入前の最終確認を行いましょう。
✅ 導入前チェックリスト
□ 排水ルートが確保できるか(ドレン排水の処理は可能か)
□ ガス種(都市ガス/LPガス)に対応した機種を選んでいるか
□ 設置スペースに十分な余裕があるか(本体+配管+中和器含む)
□ 寒冷地の場合は凍結防止ヒーターや断熱対策を検討しているか
□ 工事日と停湯期間に対する生活準備ができているか
□ 既存給湯器の撤去・処分費用の確認が済んでいるか
□ メーカー保証・業者の施工保証内容を確認しているか
□ 中和器の交換時期やメンテナンス頻度を把握しているか
潜熱回収型給湯器は、光熱費の削減と環境負荷の低減を同時に実現できる優れた設備ですが、その性能をしっかり活かすためには、「設置前の確認」が最も重要なステップです。
上記のチェック項目をひとつずつ丁寧に確認しながら、施工業者・ガス会社と連携し、安心・安全な導入を進めましょう。
まとめ:今こそ“効率”を選ぶ給湯器へ
潜熱回収型給湯器(=エコジョーズ)は、これまで見過ごされていた「排気の熱」を有効活用することで、家庭のエネルギー効率を大きく高めることに成功した革新的な住宅設備です。
ガスの使用量を抑え、光熱費を削減し、CO2排出量も抑える——これらはどれも、現代の住まいに求められる性能そのものです。
「今の給湯器が壊れていないから」「費用が少し高いから」そんな理由で従来型を選んでしまうと、結果的に年間1〜2万円の損を何年も繰り返すことになりかねません。
また、住宅の省エネ性能は売却や評価額にも関わる要素。中長期での価値やコストパフォーマンスを考えると、潜熱回収型給湯器は非常に合理的な選択です。
給湯器は頻繁に買い替える設備ではありません。だからこそ、「今」選ぶべきは効率と安心を両立する潜熱回収型給湯器。
導入を検討している方は、まずは信頼できる業者に相談し、ご自宅の条件に合った最適な機種を選定してみてはいかがでしょうか。
✅住宅設備のことならルーム・テック・ラキアにお任せください!
エコジョーズの導入には、住宅の構造や気候条件に適した施工が欠かせません。
ルーム・テック・ラキアでは、地域に根ざした経験を活かし、多くのご家庭に最適な機器選びと丁寧な設置を行ってきました。
「どこに相談すればいいかわからない」「排水処理や設置条件が不安」そんな方は、どうぞお気軽にご相談ください。
私たちは、安心して任せられる“暮らしの設備パートナー”を目指しています。

まずはお気軽にご相談ください!